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アテのない世界

パチンコは本人の努力次第でいくらでも上手くなるゲームだ。
そしてアテがなく、
常に台への不安につきまとわれるという意味では
やはりギャンブルである。

琴似の2.1円交換のパチンコ屋をねぐらにしていた。
もう七年くらい前の話。
ねぐらというのは、
パチプロが
主戦場にしている店のこと。
ぼくは働きながら打っていたので、
半プロと呼ばれる人種だった。

半プロといってもやることは専業の連中と同じなので、
店からは疎まれるし、
常連からは差別されるし、
プロからはいじめられるし、
常によそ者扱いである。

プロはプロ同士で、
符丁のような単語を使って
情報交換を行っている。
新しい店の釘の開きだったり、
海物語という台のネカセを変える方法だったり、
羽根物の攻略法だったりを、
仲間同士でやりとりして、
立ち回りに役立てるのだ。
羨ましかった。
ぼくも情報が欲しかった。
パチンコのシノギは常に流動的なものである。
今日本命の台が明日も打てるとは限らない。
アテのない世界だ。

どんなに回る台を見つけても
閉店後に釘を1本しめられたら終わりである。
他を探すしかない
その時
よそ者はみじめである。
誰も助けてくれない。
目ぼしい台はツワモノたちにすでに押さえられ、
残ったクズの中から、
勝ち線ぎりぎりの台を見つけて、
どんより打つしかない。

打てる台のストックの多い者が勝者となる世界だ。
一店でも多く、
一台でも多く、
把握している者の勝ちなのである。
プロ同士でよく見かける光景が、
台の貸し借りである。
他店から遠征してきたアテのない者に、
自分のストックの中から台を紹介してあげるのだ。
いわば自分の台を抱かせてやるのである。
なかなかな、やくざな風味だ。
抱かせてもらったほうの恐縮の仕方が半端じゃない。
ずっと敬語で低姿勢である。

そうしてつながりを作っておけば、
店を移らざるを得なくなった時の保険になる。

自然とそんな風にやくざな人間関係を構築しているのが、
日本人らしいと感じたし、
憧れてもいた。

でもそんな濃密な人間関係を結ぶのが嫌で、
現実逃避の入り口として、
パチンコを選んだのだ。
だから
誰とも口をきかなかった
いけすかない野郎だとみんなに思われていた。

本命の釘が閉まっているときは
打たずに店を出て
琴似を徘徊した
ひたすら歩き回って
時間をつぶした
「今日打たないでおけば明日は釘が開くかもしれない」
そう願いながら
歩くよりほかに
ぼくには
アテがなかった




ひよし







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