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付き添いのススメ

先日
歩道に人が倒れていたので
付き添ってみた

救急車を呼ぶという重要な役はすでに他の人に獲られていた
しかたなく
四番目に現れた親切な通行人として座に加わることにする
他にすることもなく
暇なので
人が通るたびに
さりげなく視線を外すという技を披露した
これは
あまりに親切なぼくの姿に
彼らが心を痛めないように
目を合わせないであげるという
スーパー親切な技だ
ぼくは実にさりげなく彼らから視線を外してやり
不人情な通行人を胸の痛みから救ってやったのだ

道に倒れているのはいい年のおっさんで
その汚いなりから察するに
浮浪者のようである
おっさんはぐっすりと眠り込んでいるようで
時折
いびきのようなものも聞こえる
いびき=脳梗塞
という医学的ひらめきがきらりと光ったので
早速
みんなの前で発表して
感心されてしまおうと思ったら
「もしかしたら脳梗塞じゃない?」
カップルの女に先に言われてしまった
ふん、それぐらいのことは、
誰にでも分かるんだよ
という顔で夜空を見つめていたらサイレンの音が近づいてくる
救急車の登場である

みんな到着にほっとしたのか
五人ほどいたチーム親切は解散し、
次々と去っていった
残ったのはぼくだけである
サイレンの音を聞くとおっさんはガバッと起き上がり、
辺りをきょろきょろし、
ろれつの回らない口で独り言をいった。
持ち物を検査してみると、
近所のメンタルクリニックに通院していることが分かった。
救急隊員はおっさんに話しかけるが
会話にならない
そこでぼくはさっと二人の間に割って入り
そこまでの経緯をすらすらと説明した
「なるほどそうですか」
加えて
いびきをかいていたので、
もしかしたら脳梗塞の可能性も疑ったほうがよい、
という眼のさめるような医学的判断も伝えた。

感心する隊員をあとに立ち去ろうとすると、
こう声をかけられた
「あのう。もしやお医者さんでは?」
ぼくはそれには答えず歩き去った
愚問だ
人助けに医者も失業予定者もない
当たり前の事をしただけなんだ
というメッセージを
隊員に向けて背中から発射した

付き添ってよかったな
と思った。



ひよし








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No title

告白 僕は勇気がないんですよ。

僕は頭の中であれこれ、どうしよう、どうしようと考えているうち通り過ぎて自己嫌悪。

追伸 
えー、読者として一言。大丈夫です。根拠は無いですがひよしさんは必ず売れます。よく偉い人の伝記にあるじゃないですか、災いは後から振り返ると人生のチャンスだったとか。ここから伝説が始まったりして!




No title

ぼくは自意識過剰で身動きがとれなくなるタイプです
付き添いに加われたのも
夜で暗かったからです
昼間だったら
加わる勇気を持てなかったです

ちなみにそのおじさんは隊員の制止を振り払って逃亡してしまいました

追伸
ありがとうございます
根拠はないけれど
自信がつきました
「頑張るぞ」と思いました
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