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みうらじゅん

みうらじゅん
といっても
あの、ご本人ではなく、
ぼくが勝手に命名し、
そう呼んでいた男の話である。

彼は琴似のA店をネグラにするパチプロだった。

中肉中背で、
色白の顔に、
長髪と眼鏡。
ぼくはこっそり「みうらじゅん」とあだ名をつけた。

釘を読めるようになったぼくが、
足繁く通い始めた時期に、
みうらじゅんは、
すでにA店の中で、
一目置かれる存在として、
店からも客からも認められていた。

A店は昔の商店街に見かけるような小規模なホールで、
羽根物や一般電役、現金機などを
長く大事に扱う
地域密着型のパチンコ屋だった。

みうらじゅんは、
いつも
いかなる状況でも、
ドル箱を積み、
淡々とした風情で、
台の前に坐っている。
けれど、
性格は穏やかで、
気さくで、
常連のおばちゃんに話しかけられると、
茶色い歯を覗かせて、
世間話にもつきあう。

羽根物からCR機まで、
なんでもござれだった。

ぼくはよく、
彼が打ち終わった後の台を覗きに行った。
そして、
どうしてその台を選んだのかを、
自分の目で探ろうとした。
けれど、
さっぱり分からなかった。
ぼくの目では、
彼が見つけたものを、
見つけることは出来なかった。
それは
ぼくがパチンコを断つ日まで変わらなかった。
いっぱしの釘読み屋として自負していたけれど、
みうらじゅんのそれとは、
雲泥の差があった。
所詮ぼくは兼業の半プロで、
彼はそれを生業にした専業のパチプロなのだ。

先日、
久しぶりにA店を訪れた。
経営方針が変わり、
店のラインナップも様変わりしていた。
どの台に目を合わせても、
とても打てる代物ではない。
ぼくはそのまま店を出て、
しばらく町をさまよった。

どぶ川になれ果てた川からは魚の姿が消えるように、
もうA店には、
プロの影すら見つけることはできなかった。

ぼくは札幌駅のとあるホールを覗いた。
そこに足を踏み入れるのも
数年ぶりである。

ひとりの男が、
閑散とした薄暗いホールの中で、
釘を読んでいた。
ぼくはその男の釘を読んでいる姿に見覚えがあった。
いや、
憧れのまなざしで見ていた対象なのだ。
彼の姿は、
目に焼きついている。
忘れるわけがない。

みうらじゅんだった。



ひよし



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