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ねずみ

母子ともども「ねずみ」が嫌いで、
一時、借りていた家には、
頻繁に出たので、
毎日恐々として過ごした。

現れると、
父の出番である。
人間に必要なデリカシーの不足している父は、
ゴルフクラブを手に
嬉々として追い回し、
パキーンと一撃をくれて、
まるで300ヤードドライブを放ったジャンボ尾崎のような面持ちで、
茶の間に戻ってくる。
「ど、どうでした?」と母。
「ん?何だ?」と父。
「なんだじゃありませんよ。あの、その、言わせないでください。
どうしたんですか?」
「ん?ねずみか?」
キャーと母の甲高い悲鳴。
「いやですよ。どうしてその名前を」
「ばかやろう。名前ぐらいでいちいち騒ぐ奴があるか」
「いやなものは、いやなんですよ」
「あんなもの、どうってことないぞ」
「ということは、退治してくれたんですね?」
「ふん。表玄関を見てみろ」
「え?」
「後で捨てておけ」
「何言ってるんですか。そんなのあたしに触れるわけないじゃないですか」
「うるさい。後は適当にしろ」
どうやら父はどSらしい。
母をいじめるのが好きなのだ。
好きな子をいじめて、
ぞくぞくしてるのだ。

そんなくだらないやり取りが行われている間に、
外ではえらいことが起きていて、
うっかり外に出たぼくが、
それを目の当たりにすることになる。
近所に住む子供たちが集まって、
人垣ができている。
なんだろ?
と思って隙間から覗いてみると、
くたっとなったねずみの死体を、
野良猫がむしゃむしゃと食べている。
ぼくが目にしたのは、
まさにねずみの頭がバキバキと猫の口の中で噛み砕かれる瞬間だった。
キャーと母そっくりの甲高い悲鳴。
まだ声変わりしてなかったから、
まったく一緒。
どよめく子供たち。
「気持ちわりぃー」と叫ぶ子、
中には吐き気を催し、
えづいている子もいる。
猫は我関せず、
クールにカルシウムを摂取。
ぼくは悪夢を見ているような気分になって、
くらくらとめまいがしてきた。

そこではっきり分かったことは、
生きているなにより、
死んで、
食べられているなにのほうが、
より一層不気味で、
グロテスクで、
怖いということである。

ああ、後味の悪い話。


ひよし






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