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透視

友人から透視された経験がある。
二十二歳くらいの頃だ。
昔の話で、記憶も曖昧だが、
とにかく会いたいから街に出てきてくれ
という電話があり、
ぼくはそれを面倒くさく感じて、
断ろうと思った。
すると、
友人が先手を打って、
「断れないよ」というのだ。
まるでぼくの心の中を見透かしたような口調である。
友人はこう続けた。
「おまえは今日俺に会うことになっているんだから、
断れないよ。
おまえは出てくる。
そして俺たちは会う。
これは変えられない。
決まっていることだから」

これはまた随分と強気な発言、
いったいその自信はどこから来るの?
「俺には見えるんだ」という。
こいつしばらく会わないうちに、
相当いかれてきたな。
「信じてないみたいだから、
いまのお前の姿を当ててやるよ」
ほう。
やってみてくれ。
「どうぞ」とぼくは言った。
ぼくはその時、
麦わら帽に、
ボーダーのTシャツ、
茶色のズボン、
といういでたちだった。

それを当てた。

「なんで分かるの?」
「だから、見えてるんだって」
「今も?」
「そう」
「テレビ中継みたいに?」
「いや、イメージが浮かぶんだ」
「すげえ」といってぼくは会いに行った。

会うと友人はひどく丁寧で、
腰が低く、
威圧的なところもない。
電話で与えた雰囲気とはまるで別人である。

友人の案内でバーに入り、
カウンターで酒を飲んで、
色々と話をした。
とりとめのない話の最後に、
友人は、
「おまえは三十歳になったら、
車を運転して、
林道に入り、
そこで停車して、
トマトを齧る」
と予言した。

それはまったく外れた。

なぜ電話のときにだけ、
透視能力を発揮して、
服装をばっちり当てることができたのか?
さっぱり分からない。

五年ぶりの再会だったのだが、
何のためだったのか、
いったいどんな用件だったのか、
あれから何度も思い返しているけれど、
さっぱり分からない。



ひよし





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